●本日の Web 読書
・「恋空」美嘉/スターツ出版
読みましたよ携帯小説。勿論本を買ったのではなく、Web で全文公開されているのでちこちことそれを読んだのですが。お金出せる文章じゃないと思うので、電気代だけで読みました。携帯小説を唾棄すべきものとして見ている自分の、多分批判中心の感想になると思いますが、さて書いてみますよ。先ずは筋書きに対する感想から。
実話を元として書かれたと謳われたこの話ですが、実話だとすると著者であり主人公でもある美嘉氏の怒涛の数年はそりゃもう本当に大変で気の毒でと驚きを禁じえない波乱ぶりですが、うーん、なんかそれぞれの出来事の軽重が自分と違っているので没入出来ないと言うか、何と言うか。以下、ネタばれ含みますので筋を知りたくない方はご注意。
レイプされるよりも、恋人に冷たくされる事の方がショックって、どうなんだろう? 前者は非常に理不尽な暴力で、それを受ける事による衝撃って被害者しか分からない大変な事なのに、意外に克服するのが早いのですね、主人公。それよりも恋人の挙動による感情の振れ幅の方が大きくて、それに対する一喜一憂が重視されているのが不思議です。私には理解出来ません。
あとは常識的な突っ込みですが、病気が進行して無菌室に入れられている恋人にキスをしてはいけないと思います。雑菌が進入して死にますよ。加えて一時退院してきている病人と外出し、性交するのもいけんと思います。死にますよ。
筋についてはまだまだ突っ込みどころはあるのですが、大きなところはそれくらい。次は文章についてです。
いち本好きとして、この文章にはお金を出せません。堀江敏幸の文章読んでみろ。川上弘美の文章読んでみろ。通読はしましたが、本で買っていたら読み通せなかったです。何が気に食わないって色々ありますが、以下列記。
(1) 視点が固定されていない
主人公美嘉の一人称かと思ったら、美嘉を外から見た三人称になったり、視点がころころ変わるので読みにくい。
(2) 会話文の語尾にバリエーションが無い
「○○だし!」って今時の話し言葉のスタンダードかも知れませんが、六割近い(印象)会話の終わり方がこれって、芸が無いです。もっと端的に言えば、頭が悪く見えます。
(3) 人物の性格描写がいい加減
主人公は二人の男性と付き合い、他にも数人の男性から思いを寄せられますが、魅力が読者に伝わって来ません。一人称の文章なので主人公を褒める描写は多く出来ないのは分かりますが、なら三人称で書くとか、一人称なら所作で性格を描き出すとかして欲しいです。主人公がモテる理由が皆目分かりません。都合良すぎと云う印象を与えかねません。
(4) 情景描写が少ない
私の趣味なのでスルー。登場人物の心情を反映させた情景描写がない文章は、小説と認めません。ただ、一箇所良いところはありました。恋人のヒロと優をそれぞれ川と海に仮託して比較するところ、あそこだけは良いと思いました。
とまあ色々書いてきましたが、小説として読むと駄目です。ドキュメンタリーとして読めば「お気の毒様です。大変な数年でしたが、今後とも頑張って生きていって下さい」と言葉を掛けたくなります。
これで、今後の有象無象の携帯小説を読む事は無いと思います。
投稿者 summer : 2007年12月07日 22:35